バリアフリー工事で快適な暮らしを実現!補助金制度の申請条件と支給額

バリアフリー工事と聞くと、高額な費用や手間がかかるというイメージがあり、なかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか。


実は、バリアフリー工事は思っているよりも手軽にできるものです。例えば、手すりの設置やドアノブをレバーハンドルに取替える工事を行うだけでも、日常生活の利便性や快適性は想像以上に向上します。


また、バリアフリー工事には、自治体や国が行っている補助金制度や減税制度があり、介護保険には、なんと工事費用の7~9割が補助される制度もあります。バリアフリー工事の費用を大幅に節約できるので、利用できる場合は積極的に活用していきましょう。



目次


■ 自宅に潜む危険

■ バリアフリー工事の施工例

■ バリアフリー工事を抑える為に利用できる6つの制度

■ おわりに


自宅に潜む危険


日本は高齢化社会が進んでおり、2023年には65歳以上の人口が3,500万人を超えると予測されています。また、障がい者の人口も約7,600万人と推計されており、高齢者や障がい者が安心して暮らせる住環境の整備が急務となっています。


しかし、多くの住宅は高齢者や障がい者にとって危険な要素が多く含まれており、住まいにおけるさまざまな困難や危険に直面しています。


例えば


▷ 階段や玄関の段差でつまずいたり転んだりする。

▷ ベッドから転落する。

▷ 浴室やトイレで滑ったり転倒したりする。

▷ 出入口や通路が狭くて車椅子や歩行器で移動できない。

▷ 和式トイレや高さのある浴槽で排泄や入浴が困難である。

▷ 手すりや移乗台がなくて立ち上がったり座ったりするのが大変である。

▷ 床材が滑りやすくて歩行が不安定である。


これらの問題は、高齢者や障がい者だけでなく、その家族や介護者にとっても大きな負担となります。また、これらの問題を放置しておくと、重大な事故や怪我につながる可能性もあります。実際に、国民生活センターへ報告された高齢者の転倒・転落事故の発生場所をみると、77.1%が住宅内で起こっています。


そこで、家族が安全で快適に暮らせるように行える、主なバリアフリー工事についてみていきましょう。

バリアフリー工事の施工例


手摺の設置


手摺は、バランスを保ったり、立ち上がったり、座ったりするときに支えとなり、また、万が一転倒したときにも、手摺につかまることで大きな怪我を防ぐことができる重要な対策であり、比較的安価でできる工事です。


手摺の高さは、利用者の肘から10cm程度下げた位置にすることが理想的で、手摺の太さは、利用者の手のひらでぎゅっと握れる程度にすることが望ましいです。太すぎると握力が弱くなり、細すぎると滑りやすくなります。


段差の解消


段差は、高齢者や障がい者にとって最も危険な要素の一つです。段差があると、車椅子や歩行器などの移動用具を使うことができなかったり、足を引っかけて転倒したりする可能性が高くなります。


段差の解消工事では、床面を平らにしたり、スロープや昇降台などを設置したりすることで段差をなくします。特に、玄関や浴室、トイレなどの出入り口や水回りにある段差は、優先的に解消することが望ましいです。


さらに、水回りは段差だけでなく、滑りやすい床や高さのある浴槽、狭いスペースなどで転倒などの事故が起きやすい場所ですので、以下のような改修工事が行われます。


浴室:浴槽からユニットバスへの交換、浴槽内手すりや浴槽台の設置、床材や壁材の滑り止め加工。

トイレ:和式から洋式のトイレへの交換、便座高さや便座温度調節機能付き便座への交換、手すりや手洗い器の設置。

洗面所:高さ調節可能な洗面化粧台への交換、手すりや腰掛け椅子の設置。



通路・出入口の拡幅


通路や出入口が狭いと、移動や生活に不便を感じますし、ぶつかったり引っかかったりして事故につながることがあります。また、通路や出入口が狭いと、介護者や救急隊員などの第三者が入ってくることも困難になります。


通路・出入口の拡幅工事では、壁を取り払ったり移動させたりすることで幅を確保します。また、ドアを開戸から引戸や折戸に変更することも有効です。


床材の変更


床材が滑りやすいと、歩行時にバランスを崩したり、転倒したりする危険性が高まります。特に、水回りや廊下などの床材は、水や油などで滑りやすくなることが多いので注意が必要です。また、床材の色や模様によっては、視覚的に認識しにくくなることもあります。


床材の変更工事では、滑りにくいタイルやカーペットに張り替えたり、クッションフロアや畳などを敷いたりすることで、滑りにくくしたり、クッション性を高め、高齢者や障がい者が歩行時にバランスを保ちやすくします。また、転倒時にも衝撃を和らげることができます。


照明の改善


照明が見えにくいと、周囲の状況を把握しにくくなり、暗い場所や影のある場所では、段差や物の位置などを見落としたり、目が慣れるまで時間がかかったりします。また、照明の色や明るさによっては、目に負担をかけたり、錯覚を起こしたりすることもあります。


照明の改善工事では、LED照明や蛍光灯などに取り替えたり、調光スイッチやセンサー付き照明などを設置したりすることで事故を予防します。暗い場所や影のある場所では、補助照明や間接照明などの活用も有効です。



工事費用を抑えるために利用できる6つの制度


さて、ここまで主なバリアフリー工事を紹介してきましたが、バリアフリー工事を行うためには数万円から、工事によっては数百万円とかなり高額になる場合があります。


そこで、バリアフリー工事費用を安く抑える為に利用できる、国や自治体が行っている制度についてみていきましょう。



1. 所得税減税(リフォーム促進税制)


所得税減税(リフォーム促進税制)は、バリアフリー改修工事を行った場合に、改修後に居住を開始した年の所得税額から一定額を控除できる制度です。


<控除額>

控除額は、バリアフリー改修工事費用の10%で、最大60万円です。補助金等を受けた場合は、その分を差し引いた金額が控除対象となります。ただし、前年以前3年分においてこの税額控除を適用した場合は、原則として適用できませんが、新たに要介護・要支援状態区分が3段階以上上昇して適用対象工事を行った場合は再適用できます。


<条件>

控除を受けるためには、自分や家族が50歳以上、要介護・要支援者、障がい者であることや、改修工事後の床面積が50㎡以上であることなどの条件があります。


<申請>

この制度を利用するためには、改修後居住を開始した年の確定申告の際に、「住宅特定改修費等の控除申告書」などの書類を添付し、申請を行う必要があります。


2. 固定資産税の減額


<控除額>

固定資産税の減額は、一定のバリアフリー改修工事を行った住宅に対して、改修工事が完了した翌年度分の固定資産税額を減額する制度であり、100㎡相当分までの固定資産税額の3分の1が減額されます。また、稀に各自治体で独自に控除の制度を設けている場合があります。


<条件>

対象となる住宅は、築後10年以上経過した住宅で、床面積が50㎡以上280㎡以下のものです。50歳以上の者や要介護者などが居住することなどの条件があります。


<申請>

この制度を利用するためには、工事完了後3ヶ月以内に市区町村に申告する必要があります。


3. 住宅ローン減税


住宅ローン減税は、住宅ローンを借り入れてバリアフリー改修工事を行った人が受けられる減税制度です。


<控除額>

この制度を利用する場合、控除対象限度額は400万円であり、その1%が控除されます。つまり、最大で4万円が所得税から控除されます。この控除は、借入年から10年間受けることができます。ただし、①の所得税減税制度と同じく、前年以前3年分においてこの税額控除を適用した場合は、原則として適用できませんが、新たに要介護・要支援状態区分が3段階以上上昇して適用対象工事を行った場合は再適用があります。


<条件>

この制度を利用するには、 償還期間10年以上の住宅ローンを借り入れていることや、改修工事費用から補助金等を控除した額が50万円を超えることなどの条件があります。


<申請>

この制度を利用するためには、改修後居住を開始した年の確定申告の際に、「住宅特定改修費等の控除申告書」などの書類を添付し、申請を行う必要があります。また、バリアフリー改修工事の証明書や領収書なども必要です。


4. 住宅特定改修特別税額控除


住宅特定改修特別税額控除は、バリアフリー改修工事を行った場合に、改修費用の10%(上限20万円)が所得税額から控除される制度です。


<控除額>

バリアフリー工事の標準的な費用の額x10% + ❶か❷の低い方の額x5%


バリアフリー工事の標準的な費用の額のうち控除対象限度額を超える部分の額+バリアフリー工事と併せて行う増築、改築その他の一定の工事に要した費用の額


❷バリアフリー改修工事の標準的な費用の額


バリアフリー工事の標準的な費用の額とは、国土交通省が定めた、所得税や固定資産税の減税制度の適用条件や控除額の算出に用いられる金額です。


例:

▷手すりを取り付ける工事:1mあたり2万円

▷固定式の踏み台等を浴槽に設置する工事:5万円

▷床の段差を改修する工事:1㎡あたり10万円など。


<条件>

工事をした後の住宅の床面積が50㎡以上であることや、改修工事費用から補助金等を控除した額が50万円を超えること、などの条件があります。


<申請>

この制度を利用するためには、改修後居住を開始した年の確定申告の際に、国税庁に申請を行う必要があります。


5. 介護保険から受けられる補助金


介護保険から受けられる補助金とは、要介護認定や要支援認定を受けた人がバリアフリー改修工事を行った場合に、その費用の一部を補助してもらえる制度です。この制度は、国や自治体が共同で負担しています


<補助金額>

改修工事費用の9割(上限額は20万円)が補助されますが、所得に応じて2割や3割になる場合があります。


<条件>

利用者が要支援または要介護認定を受けており、改修する住宅が利用者の居住する住所と同一であることが条件です。


<申請>

この制度を利用するためには、改修工事前に市区町村に申請が必要です。


6. 自治体からの助成金


関西圏で現在バリアフリー工事に関する独自の助成金制度を設けているのは、京都府京都市のみとなっており、工事費用の一部(上限20万円)を補助する制度です。大阪府内でも固定資産税の減税以外にも新たに補助制度ができる事を期待したいところです。


※情報は今後変更される可能性がありますので、最新情報は国土交通省国税庁、各自治体のホームページを確認してください。


おわりに


いかがでしたか?バリアフリー工事をして安全で快適な生活を手に入れる事は、家族のためにも自分のためにも大切なことです。


お客さまの暮らし方やニーズをていねいにヒアリングした上で、最適なものをご提案いたします。


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